日本初の「探求学習白書2020」が発刊、探求学習で取り扱うテーマは「職業」が過半という実態が明らかに

一般社団法人英語4技能・探究学習推進協会(東京都世田谷区、代表理事:辻村直也、以下ESIBLA)はこのほど、国内の探究学習動向をまとめた日本初の“探究学習白書”を創刊した。


ESIBLAは、英語学習や探究学習の環境整備や情報提供を目的に設立した団体で、「英語プレゼンテーションコンテストの企画、運営」「英語教育に関する講演会、イベントの企画、運営」などを事業内容としている。

今後、全国の中学校、高等学校で『探究学習』が導入される予定だが、教育現場では探求学習に関する情報や実践事例の公開情報が少なく、どうやって導入していいかの戸惑いがある。このためESIBLAでは、自団体が持つネットワークと調査スキルを用いて、探究学習の現在が分かる研究白書「探究学習白書2020」を初めて発刊した。

「探究学習白書2020」では、全国の中学、および高校教員約640名を対象に探究学習に関するアンケート調査を実施し、学校現場における探究学習の姿をさまざまな角度から分析してある。

探究学習の授業でよく取り扱うテーマは職業が大半(54.1%)を占める

「総合的な学習の時間」、あるいは「総合的な探究の時間」を実施する中学教員、および高校教員647名を対象に、探究学習が生徒にどのような影響を与えているかという観点から生徒への指導内容等を調査し、以下のことがわかった。

・「総合的な学習の時間」、あるいは「総合的な探究の時間」の授業においてよく取り扱うテーマは半数以上の学校が「職業」(54.1%)。

・よく取り扱うテーマの2位は「国際理解」(43.6%)、3位は「環境」(35.7%)。

・あまり取り扱わないテーマは、「科学技術」(9.6%)、「資源エネルギー」(10.2%)、「健康」(13.6%)。

中学では取り扱わず、高校でよく取り上げるのは「資源エネルギー」や「科学技術」

中学、高校で分けると次のような共通点と違いが出ている。

・中学では「職業」、「福祉」、「国際理解」が多く、高校では「職業」、「国際理解」、「環境」が多い。

・中学ではよく取り扱うが、高校ではあまり取り扱わないテーマは、「福祉」や「伝統文化」、「勤労」など。

・中学ではあまり取り扱わないが、高校ではよく取り扱うテーマは、「資源エネルギー」や「科学技術」など。

生徒に人気があるのは、「職業」「国際理解」「伝統文化」

生徒に人気のある学習テーマも興味深い。

・生徒に人気のあるテーマは「職業」(33.2%)。

・2位は「国際理解」(22.4%)、3位は「伝統文化」(14.1%)。

・生徒にあまり人気のないテーマは、「資源エネルギー」(3.6%)、「生命」(4.3%)、「健康」(5.3%)など。

教員が将来取り扱ってみたいと思うテーマは“国際理解”

教員が将来取り扱ってみたいテーマを聞くと、次のような結果が出た。

・将来取り扱ってみたいと思うテーマの1位は「国際理解」(28.0%)。

・2位は「職業」(23.2%)、3位は「ものづくり」(20.9%)。

・回答の少なかったテーマは、「健康」(14.1%)、「生命」(14.1%)、「福祉」(14.2%)など。